僕は知らなかったんです。必死になって内定した転職先の会社が、1日20時間、週7日勤務のブラック企業だったなんて。
東大卒や戦略コンサル、最大手広告代理店などから入社が殺到するベンチャー。
入社すると、地獄のような日々が待っていた。
決まったばかりの転職先から社員旅行に誘われた!
取締役が辞め、部長が追い出され、主任が出ていくという、とにかくゲボ溜めのゴミカオスみたいだった会社を退職し、第二新卒で内定をもらってから、5日後。
内定先の企業から「月末に社員旅行にいくけど、行く?」と言われた。正直そういうのがあまり得意ではなく、あまり行きたくはなかったが、即答でOKを出した。
僕は夢見ていたのだ。新卒で入る会社に失敗し、どうしようもない落ち目の会社に入ってしまった。この先の人生、なんとか挽回したい。
それの取っ掛かりとなる転職。
ならば、その転職先ではうまくやり、第二新卒の成功を勝ち取ってやろう。そう思っての即答だった。
世界一行きたくない社員旅行1:届かない確認メール
しかし、思えば最初からおかしかったのだ。
旅行に行くということで、当然行程について確認の連絡をした。当然行き先だったりとか持ち物について確認する必要があるからだ。「何か案内みたいなものは来ますか?」と聞いたところ、旅行の担当者から連絡が来るとのこと。
とりあえず待つしかないので、メールが来るのを待った。
旅行1週間前。5日前。3日前。
とうとう前日になっても連絡が来ない。
催促して、やっと行き先が京都であることと、持ち物は「常識的に旅行で持っていくもの」ということがわかった。
世界一行きたくない社員旅行2:行きの新幹線で響き渡るキーボード音
そんなこんなで、僕らは京都に旅行に行くことになった。朝10時にオフィス集合。20分前にビル前に行き、ドアを開けた。
「おはようございまーす」
開けた瞬間、いろんな調味料の臭いと汗の臭いをミックスさせたような、鼻をつくにおいが漂っていた。
周囲を見回すと、デスクの上もカップ麺やマクドナルドのごみでいっぱいだ。そして、社員は歓談するわけでもなく、ひたすらにPCに向かって集中。顔色からして、明らかに疲れている人間が多い。
旅行担当者に話しかけると、「一昨日から寝てないのに、、、」と愚痴をこぼしながら、旅行の行程について話してくれた。
面接で会ったマネージャーは、出発の1秒前までずっとPCをカタカタやっていて、「オフィスを出ます!」の声とともにPCを閉じ、エレベーターに乗ってからまたカタカタやりだした。
ビルを出ると旅行担当者が「準備がクズ」との理由で、ゴミだのバカだの死ねだのと激詰めされていた。僕は風水については詳しくないが、恐らく、いや間違いなく、あの時のオフィスは「陰」の気にまみれていただろう。
そして、新幹線の中。本来であれば楽しい旅行の途中ではあるが、雰囲気がおかしかった。聞こえているのは歓談でもなく、笑い声でもなく、ひたすらキーボードの音、、、!
みんな、新幹線の中で仕事をしているのだ。半分くらいは一言も喋らずに、一心不乱にExcelをいじったりPowerPointをいじったりしている。
「絶対終わらねえ、、、」「きつい、、、」等、これから旅行に行くとは到底考えられないセリフが聞こえてくる。周囲をキョロキョロすると、PCをいじる手を止めて先輩っぽい風貌の男が話しかけてきた。
「君、PC持ってきてないの?今度からちゃんと持ってきたほうが良いで。こういう時間に仕事できなきゃやってられへんで」
僕は少々困惑し、「会社のデータって持ちだしても良いの?」「むしろ、これってリフレッシュとか交流とかのための旅行じゃなかったっけ、、、」と、かなり動揺した。自分の常識と、個々の会社の常識って、もしかしてちょっと違うんじゃないのか、、、?
とは言え、前にいた会社がショボすぎたというのも勿論考えられる。きちんと仕事をする会社はこうしてみんな頑張っているんだろう(多分)と自分を無理やり納得させた。
ちなみに、僕は初っ端からすごく浮いた。
浮いた理由は2点あり、1点目は会社にギャルが多い点。サイバーエージェント状態。つけまの迫力が違いすぎる。茶髪、金髪、何でもアリ。ネイルもギンギンに決めている。
多分、オフィスもこんな感じなんだろうなあ。そういう人たちは何を話したら良いのかわからず、というよりそもそも話たくないので、ちょっと距離を置きたくなった。
次に2点目。常に笑い、オチ、ツボを求められる。これらをいちいち求められるのがかなり辛かった。
世界一行きたくない社員旅行3:食事は二の次。ブラック企業臭の漂う宴会へ
到着すると、時間も時間だったので早速食事になった。しかし、旅館のフルコースに(ちゃんと前菜からたくさん出てくるやつである)も関わらず、食事時間は30分。明らかに短い。全員無理やり詰め込み、なんとか凌いだ。
何でも、この後宴会があって、その時間に間に合わせるためらしい。
そして、宴会。宴会はホテル地下に設置された大型カラオケルームを貸しきって行う。そこからはもう、なんというか広告代理店も真っ青の宴会芸が繰り広げられた。
デブ社員による腹踊り、(社長の)カラオケ(を褒める)大会、顔にパンストを括りつけて引っ張り合う相撲(光浦靖子がよくやるような奴)、氷水をかぶる若手等、やってる社員らは盛り上がっているが、端から見るとすさまじい違和感を感じた。
女性社員も際どい格好をさせられ、AKBのダンスを踊らされたりしていた。今どき、こんなことをやるのか、、、。質の悪いめちゃイケみたいだと感じた。
また、何かをやったときはTVのひな壇芸人のように大声で笑わなければならないというルールがあり、社長のギャグや取締役のツッコミにもわざとらしくわらわなければならなかった。これも、場をより異常なものにしていた。
結局騒ぎは3時頃まで続き、後は個別の部屋で飲み。僕はそれとな~くしゃべって終わり。結局、最後まで全く馴染めないまま解散に至った。
そんなこんなで旅行は終わった。しかし、僕は知る由もなかった。こんなのは序の口であり、ブラック企業の恐ろしさはずっとエグいものだということを、、、。
第2話(続き)はこちらから。勤務初日から◯◯しなければならず、、、
ブラック企業から転職しよう
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