転職先はブラック企業10話はこちら
激務な僕にも彼女がいたんだ
僕には当時、彼女がいた。
彼女は当時まだ大学生で、運良く会社から2駅の学生マンションに住んでいた。そのため僕は実家から通うのもなんなので、都合よく上がりこませてもらっていたのだ。
僕は近頃、幾度となく彼女に怒られていた。その理由は明確で、1点目に自分の帰りが遅い・または帰ってこないこと。2点目に帰りの時間を僕が報告してこないことだった。
激務な僕の彼女1:彼女にも報連相
彼女は何度も言った。なぜ連絡すらしてこないのか。理由は簡単である。ミーティングが入っているからだ。ミーティングが21時から25時まで入っているというのに連絡なんてできるわけがない。
しかし、僕ですらも、なぜこんなに遅くまで仕事をしている理由をよくわかっていない。
仕事の意味がよくわからないまま会社をやめ、第二新卒で就職したら、いつのまにか束縛と搾取で構成される奴隷国家に隷従することになってしまった。なぜこうなったのか、僕が知りたい。
激務に追われ、僕はことごとく連絡を失敗した。そして、彼女の説教は幾度となく繰り返された。僕が運良く25時発の終電に滑り込んだときさえも、帰ってから2時間ほど説教を受け、結局は4時に就寝することも少なくなかった。
激務な僕の彼女2:ブラック企業社員はトイレで寝るしかない
そんなこんななので、僕の体は常に満身創痍だった。とにかく眠くて眠くて頭がおかしくなりそうだった。体は熱く、常に風を引いているかのように重い。脳が疲れているから歩いているときもフラフラする。
朝食代わりにレッドブルを飲んでも無駄だ。眠気のほうが強すぎて全く効き目がない。
もちろんオフィスで寝るわけにはいかない。そこで、トイレで寝るという技をみにつけた。そうでもしないと体がもたないのだ。
トイレで過ごすひとときの睡眠(といっても5分程度だが)は、至福と言って差し支えないものだった。砂漠のオアシスとはまさにこのこと。本当に、本当に安心する。
しかし、僕以外にも同じことを考えている人間は腐るほどおり、ほどなくしてトイレの争奪戦がはじまった。また、オフィス内で真面目に働く人間による「突然(トイレに)消えた社員の捜索活動」も日課となった。
したがって、同じビル内にいるにも関わらず携帯をバンバン鳴らし、「今どこ?」といったコールを連発するようになった。
激務な僕の彼女3:地獄の総会
さて、仕事の方はというと。
上司の傍若無人なクライアント先常駐営業が功を奏した結果、順調に顧客数は増えていった。
僕自信もWebディレクターという仕事になれ、ちょっとはサイトの調整などもHTMLを使ってできるようになり、自身の成長を感じていた。
また、SEOを担当していた顧客のサイトが「月問い合わせゼロから毎週2回の問い合わせ」まで成長したりもしたため、多少の満足感は得ていた。
「ありがとうございます。しょうきちさんのおかげです」
そう言っていただくことも増えた。
そんな中、決算総会の話が出た。
帰宅途中に歯を磨きながら帰る同僚「さんま」はこう説明してくれた。
「総会ってのは会社の経営状況説明と宴会がミックスしたようなもんやで。お前が入社前に言った旅行でも宴会あったやろ?」
お、おお……
宴会、宴会……
あのおぞましきパンストずもう、コスプレダンス、社長カラオケ賛美、それらが詰まった宴会……
「でもな。今回は俺らも出し物するらしいで。お前はな……」
さんまはプリントをめくる。
「漫才や」
な、なんだって〜〜〜〜!!!
当然ながら、僕はそんなタイプじゃない。ナンパも合コンもしたことないしヒトを笑わせるなんてとてもとてもである。
「あ、あと、今度は決算総会だから外部のヒトも来るで。うちの株主の○○社の専務と、○○社の会長……」
「それとお前によくしてくれとる頭脳警察の後藤さんもや!」
嗚呼、僕は死にたい。
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