自分にとって結構きつい話だったから消化できずにいたけれど、やっと消化出来た気がするので書いてみようと思う。
僕にはKさんという、先輩というか師匠のような人がいる。
新卒で勤務していた会社で一緒で、自分はWebディレクター、Kさんはフロント側のエンジニア。担当しているECサイトの画像変更やUI変更などで無理難題を押し付けていた。
そのうち、Kさんから飲みに誘ってくれ、次第に1ヶ月に数回は飲みに行く仲になった。
(何故かわからないが、ここから「年上で営業の得意な理系っぽい眼鏡の人に良くしてもらえる」というジンクスができた)
iPhone5Sの発表時には「ねえねえ、しょうきち知ってる?」と朝から(ニヤニヤしながら)話しかけてくれたし、
ちなみに、僕がブログを始めたのもKさんのおかげ。Kさんから立花岳志さんの本やイケダハヤトさんのことを教えてもらい、ブログで稼ぐことを猛烈に意識したのだ。
後日Kさんは転職するのだが、僕も後を追って(別会社だが)転職。そのときの第二新卒の転職活動を記録するブログとして、このブログを開始した。
常に僕がブラック企業で働いて死にそうになっているときも、宮崎に移住してくるときも、いつも連絡をくれた。僕は連絡不肖だから、もらってもすぐに返事ができない。時には2,3ヶ月返事ができないままのときもあった。
それでもブログを更新したら、その都度メッセージをくれ、「転職先はブラック企業」の連載のときは、いつも、
のように、コメントをくれた。
こういうのはとてもおこがましいのだが、もしかしたら、Kさんは僕のブログにできた初めてのファンなのかもしれない。
宮崎に来たときは物理的な距離もあって少し疎遠気味になってしまったが、僕が会社を辞めて、フリーで稼ぐ宣言エントリーを書いたときに、連絡をくれた。
会社を辞めてからは、とりあえず1日2~3記事のブログ更新をしながらビジネス書を読むなどして、毎日を「とりあえずの勉強期間」としていた。Kさんはブログの感想を送ってくれ、それとともにPV数や現在の目標数値などを聞いてきた。
僕は「ああ、僕のブログを楽しみにしてくれているんだなあ」と嬉しく思っていて、考えている企画の話をした。
「今度、こういう企画で電子書籍をやろうと思っているんですよね。Kさんから文章をほめてもらったから、物を書くことにやる気がでて、この企画を考えられたんです!ありがとうございます!」
Kさんは「ふうん」とだけ答えた。
――そんな形でのんびり過ごしていたある日、Kさんから「今ちょっと話せる?」とメッセージがあった。
僕はいいですよと答えて、フェイスブックのメッセンジャーから通話ボタンを押す。
「おお、忙しいところ、すまないね」
Kさんの声。
「しょうきちさ、今どんなふうに稼いで食っていくつもり?」
いきなりの直球だった。慌てる僕。
「ブログで月5万円くらい稼げれば。あとは、転職支援サービスを準備しようと思っていて……」
「それで、今年中にはいくら稼げるようになるの?」
「20万は、いけると思います」
「20。それは売上ベースだよね」
「はい、そうです」
「なるほどねえ……」
少し黙ってから、重い息を吐くようにKさんは言った。
「あのね、そんなんじゃ君、ニートになるよ」
うっ、となった。
「Kさん、でも今、貯金が○○あるし」
「そんなのすぐになくなるし、今の君の目標でその貯金が底をつかない保証なんてできないでしょ」
その通りだった。頷くしかない。Kさんの話は、僕が直視できなくて避けてきた、汚くてグロイものをクローズアップさせる。
「このまま実家に帰ったら、本当にニートになるよ。だから、ちゃんとラインを決めたほうがいい。夢を諦めて東京でウェブディレクターで雇ってもらうラインを真剣に考えるんだ。生きるために」
「俺はフリーランスやってるけど、収入が今の半分になったら営業にもどるからね。フリーランスの50万はサラリーマンの25万だよ。不安定さと社会保険を考えたら」
「そうですよね……」
「あと、犯罪だけはやるなよ。借金も。この2つだけはするな」
「はは、はあ……」と僕が下手な相槌でお茶を濁そうとすると、
「笑ってるけどね、本当にそうなるよ。人間落ちるところまで落ちたらわからないからね」
携帯をにぎりながら、目の前が真っ暗になった。Kさんは僕のブログを楽しみにしてくれていたんじゃない。僕自身の身を心配してくれていたんだ。恥ずかしすぎる勘違い。
僕は人生を、仕事を、フリーであることを、そしてブログを舐めすぎていたんだと思う。うまく当たればいいや、くらいの精神。そんなんじゃ、一生書き続けてもいい文章なんて書けやしないし、稼げもしない。
Kさんは「色々言ってすまんかったね」と、電話を切ったが、ほどなくして、メッセージをくれた。
さっきは、いつも通りきついこといってすまんと思ってる。心苦しい終わり方だから。
しょうきちのブログやtwitterは当面見ないことにする。見たら口出したくなるから。自分の足で稼いでいくって決めたんだから、業界が違う俺は
知見もないから口は出さないほうがいいと思う。とは、言っても広い意味でインターネットの世界でお互い生きてるから、その中でお互いの認知度が上がってその中でまた再開できたら面白いなと考えてる。
だから、その日までは、自分の決めた道を進んでください。
ずっと、応援してます。
では、またいつか会えるときまで。
Kさんの優しさに、
これを見て、僕はブログを本気で書こうと思った。