ブラック企業の定義をまとめよう
ブラック企業の定義って、わかりにくいですよね。それもそのはず、きちんと定義されていないから。
なので、ブラック企業で実際に働いた僕が、肌感覚で書いてみます。
ブラック企業の定義は2点
ブラック企業の分類
- 社員を使い潰す企業:ワタミ等
- 顧客に不利益を与える企業:ヒット仙台(海産物の賞味期限改ざん)等
- 社会に不利益を与える企業:チッソ、東京電力等
といえます。
中でも最も多く語られるのが「社員を使い潰す企業」なので、そこを更に分類していくと、
- (主に労働基準法などの)法律に違反している企業
- 法律に違反していなくても、(長時間労働やパワハラなどで)勤めづらい企業
となってきます。
法律に違反しているからブラック企業
例えば、犯罪に手を染めていたり、法律に違反していたり。法律によって裁かれるべき企業のことを、ブラック企業と定義していることが多いです。
勤めづらいルールなどがあるからブラック企業
法律に違反していないとしても、ブラック企業的になる企業はあります。例えば、飲み会が恐ろしく多くて生活に支障をきたす等。また、人事異動が恣意的に行われ、従業員のキャリアが無視される等。
世の中で出て来るブラック企業はどう定義されている?
では、世の中に出てくるブラック企業が、どのように解釈され、定義されているかを見てみましょう。
映画に出てくるブラック企業の定義
ブラック企業の名前を夜に知らしめた作品の一つに、「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」があります。
小池徹平演じるITブラック企業社員がひたすらデスマーチと戦うという、ブラック企業の「日常」を描いた映画です。
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2009年公開の映画なのですが、ブラック企業とかブラック会社っていう言葉が有名になったのってまさにこの時期らへんなんですね。
映画に出てくる「ブラック企業とは何か」の定義
作中で出てくる雑誌の特集で、ブラック企業診断が登場します。
ブラック企業診断の内容は下記の6点。
- 就業規則があるにも関わらず残業が当たり前。
- 何日も徹夜が続くことが有る。
- 社内に情緒不安定な社員がいる。
- 必要経費が一切認められない。
- 同僚のスキルが異常なほど低い。
- 従業員の出入りが激しい。
この指標について、作中のブラック企業がどう描かれているかを見ていくとともに、僕のいたブラック企業がどうだったかも比較してみます。
ブラック企業とは1:就業規則があるにも関わらず残業が当たり前。
- 映画のブラック企業:当然。「定時は都市伝説」と一蹴される。出勤初日から徹夜。
- 自分が経験したブラック企業:当然。週に100時間働けと言われる。出勤初日から徹夜。
ここはほぼ同じ。ブラック企業において、日付が変わらずに退社できるとかありません。
ブラック企業とは2:何日も徹夜が続くことが有る。
- 映画のブラック企業:当然。
- 自分が経験したブラック企業:以前はそうだったが、ある日から25時までに帰らないと駄目というルールが設定された。
一応労務管理を改善しようとする動きがあって、会社に泊まることは禁止された。
ただし、それでも残る社員は数人いる。ブラック企業だもの。
ブラック企業とは3:社内に情緒不安定な社員がいる。
映画のブラック企業:いる。日本語をしゃべれない社員が存在し、コミュニケーションが困難。
自分が経験したブラック企業:映画ほど露骨ではないが、ブツブツ言いながらソファに倒れこむ、社員が非常階段で寝ていて警備員に通報される等は何度も、、、
いわゆる「極度のコミュ症」のような人はいなかったが、ハードワークの後は
一部の人間が人間らしからぬ行動を取ることがあった。女の子でも床で寝ていた。
主に休息を求めるために本能に素直になった結果の行動である。
ブラック企業とは4:必要経費が一切認められない。
映画のブラック企業:一切認められなかった。タクシー代が出ない描写があった。
自分が経験したブラック企業:一部認められなかった。営業交通費は出ていたが、出ると言われていた住宅補助が出なかった。ただし、営業でタクシーを使ったら交通費は出ないと思う。
ここはOK。常識的な部分は出る。
ブラック企業とは5:同僚のスキルが異常なほど低い。
映画のブラック企業:リーダーや先輩がほぼ働かず、能力も低かった。
自分が経験したブラック企業:ほぼなかったが、仕事をせずに帰る人間(美人で社長のお気に入り)はいた。
映画くらい同僚がクズだったら、確実にキレているしやめている。
ブラック企業とは6:従業員の出入りが激しい。
映画のブラック企業:主人公の前任者が1週間で行方不明になった。主人公が入社してからは辞職者ゼロ。
自分が経験したブラック企業:現在は1月に1人程度だが、1年前は事業部全員トンズラなんてこともあった。
僕の会社の新卒の定着率でいうと、2012年卒は生き残りゼロ、2013年卒は10人中9人が1年以内に退職。2014年卒は4人中1人が1ヶ月目に退職するという大惨事。
映画のブラック企業に対する違和感
映画の中に出てくるブラック企業の定義には、少し違和感がありますね。
例えば、「同僚のスキルが低い」などは、外から見たときに「ブラック企業の可能性を示唆する要因」の一つではあるけれど、「スキルが低い=ブラック企業である」とは言えません。
ただ、一つ言えるのは、この会社がブラック企業化したのは、経営者が無能だから。
明らかに法令を順守していないし、反感を集めるようなマネジメントしかしていないから、今後、崩壊するのは当然だと思います。
有能な経営者のブラック企業とは、もっと邪悪だ
もちろん、経営者が有能でもブラック企業化する会社はあります。むしろ、こちらのほうが質が悪いはず。
ブラック企業のトップが頭脳明晰だったりすると、人を洗脳してがんじがらめにして、抵抗できない状態にしていくから怖いです。
例えば僕の元いた会社では暴力が飛んでいたが、反抗する者はいなかった。
手が飛ぶモノが飛ぶは当然だったし、社長からの暴言、例えば「死ね」「金払え」「ボケ」「カス」は毎日のように飛んでいたが、誰も殴り返さず、ただひたすらキリストのように、右の頬を打たれては左の頬を差し出していた。
それも、経営者の頭がよく、「結果が出せない人間は何をされてもおかしくない」という空気をつくった、「洗脳」のおかげです。
経営者が「有能」か「無能」かも、ブラック企業の性質を左右する
ここから、ブラック企業のパターンとして、経営者の能力が関係あるといえますね。
- 経営者が有能なブラック企業→会社を運営する能力は高いが、社員よりも利益などを重視しすぎたため、社員を使い潰す
- 経営者が無能なブラック企業→会社を運営する能力が低いため、社員を無理やり働かせるような使い方しかできず、社員を使い潰す
まとめ
- ブラック企業の定義とは、社員や顧客、社会に不利益を与える企業である
- 社員に不利益を与える要因として、法律違反や働きづらさがある
- 経営者の有能・無能は関係なく、ブラック企業は生まれる