ども!
しょうきちです。
先日、ビジコンに出場してきました。
ビジコンとは「ビジネスコンテスト」の略で、(未来の)企業家候補生による
事業計画発表会。各々のビジネスの優位性をプレゼンして競い、
優秀なプランには賞金が与えられたり企業家とコラボできる権利が
与えられたりします。
僕はいちご農家の友人と一緒に宮崎勢として応募し、
運よく決勝まで勝ち進むことができ!
(↓友人のいちご農家)
東京に呼んでいただいてプレゼンの機会をいただくことができました。
今回は、ビジコンに出るにあたって
- どんな状態でビジコンに応募し
- ビジコン当日まで何を準備し
- ビジコン当日何が発生し
- ビジコンの結果はどうだったか
- ビジコンから何を学んだか
について書いていきたいと思います。
応募前の状態
では、応募前の状況はどのようなものだったのかを簡単にまとめます。
- 友人の妄想を事業化
- プランの精度は友人の頭の中の妄想レベル(こんな商品を作りたい!程度)
- 社会の役に立つことはなんとなくわかっている
- 競合、資金政策、売り上げ目標などの数字は完全にまっさら
- 地方メディアに取材されたことはある
というわけで、ほぼ「まっさら」状態です。これでビジネスコンテストに出ようと
よく言えたレベル……。笑
しかし、僕は学生時代にビジネスコンテストに出場した経験があり、
「しょきちさんって実はすご~い!」って思われたいけど会社の中では
全く眼が出ずにくすぶっており、
友人もちょくちょく宮崎県のプレゼン大会に出て無双しているけれども「1位」をとるまでには至らず、
なんというか二人ともパワーが有り余っている状態でした。
なので恐れ多くも、飛び込むようにビジネスコンテストの応募に至りました。
書類選考
さて、第一関門は書類選考。
ビジネスコンテストの書類選考は、主催者がどのような書式を指定してくるかで
戦い方が大きく変わっていくと思います。
今回の書式は非常に簡潔。200字などの単文質問が5個程度。
自分たちのやりたいことをきわめて少ない文字数で
まとめなければなりませんでした。
そこで気を付けた点は下記のとおり。
- 簡潔にするために、箇条書きでまとめた
- 「なぜやるか」を明確にした
説明は箇条書き
今回の書式はワードだったのですが、ワードの資料提出となると長文でだらだらと書いてしまいがちです。しかし、何十ものプランを一斉に審査する審査員のことを考えると、短文で簡潔にまとめるほうが印象に残りやすいと考えました。したがって、短文の箇条書きを多用し、インデントをつけて構造化しました。
「なぜやるか」でテーマへの解釈を提示
出資者が重視するのはビジネスへの熱意と実現性になりますが、今回の書類では実現性を示す事業戦略などを書くのに十分な字数が用意されていません。よって、論理的にビジネス優位性を示すような資料はそもそも提出不可能。そこから、評価ポイントは実現性よりもむしろ、熱意に傾いていると推測しました。
とはいえ、ネックは文字数制限。前述のとおり、本コンテストは文字数制限が厳しいのです。しかし、いくつかある質問事項のうち、「応募のきっかけ」と「チーム紹介」だけは文字数制限がありませんでした。なので、応募のきっかけは「事業理念を語るアピールコーナー」と位置づけて、しっかりと書きました。
宮崎県の地方創生を実現するために、その思いを受け入れてくれる魅力的な「場」として本コンテストを活用させていただきたいと考えたからです。私たちは、「地方創生とは、地方が単体で永続できる仕組みづくり」だと考えています。これはすなわち、「地方がヒト・モノ・カネを自給できる」状態とも言い換えることがで
きるでしょう。そのためには、地方(我々の場合は日南市)に魅力的な仕事を作り出すことが先決です。そうすることで、地元で働ける。だから、地元を離れずに済む。その結果、地元で税を納め、子を産み、生きていくことができる。この結果、日南市が地域単体で活動し続けられる状態が生まれると考えています。
自分たちがもともと本コンテストのをどのように考えているかを示しました。テーマは地域創生なのですが、これを正しく・独自に解釈し、自分なりの考えを持っていることをアピールする。そのために、自分たちの考える地域創生とは何かを論じ、その先に何があるかを提示しました。
シンプルに応募のきっかけを書くだけでは、アピールの場を自ら捨てているようなものです。せっかく文字数制限がないわけですから、求められている回答からイレギュラーにならない程度にアピールをしなくては。
書類審査の結果
書類を送付して3日後、結果はすぐに届きました。
改めまして、この度は、素晴らしいプランのご提出ありがとうございます。
当日、お会いできることを心より楽しみにしております。
さて、下記の通り、ファイナルプレゼンテーションの詳細をご案内いたします。
ビジネスコンテスト書類審査、合格!!
どこが評価されたのかは正確にはわかりませんでしたが、89チームからの8チームに選出され、決勝に進むに至りました。
ビジネスコンテストの事前準備
事前準備として必要なものは2点。
プレゼンのためのスライド作成と、質疑応答の回答準備です。
ビジネスコンテストのスライド作成
重視したのは2点。
- 熱意
- 競合分析
まずお伝えしたいのは、発表時間が5分だったということ。自分が経験してきたプレゼンコンテスト、ビジネスコンテストの中で最も短いものでした。したがって、話す内容もかなり絞られます。
書類選考の際に熱意やストーリーを重視していると読んだので、スライドも同様に、
審査員を「熱意で乗せる」方向にシフト。
「地方創生」、「高齢者雇用」、さらには「日本初」といった
キーワードでたたみかける流れを作りました。
しかし、ただ単にストーリーで攻めても夢物語でしかないので、
少ない時間でできるだけの数値分析を盛り込もうとしました。
お手本にしたのはけんすう氏の事業計画書。
これがものすごくわかりやすい。事業計画書を作るときの「視点」みたいな
ものも載っているのがすごい。どんな目線で何を用意すべきかがよくわかりました。
できればけんすう氏のように詳細なデータを載せたかったのですが、徹夜でネカフェにこもりっきりの自分にそこまでの気力はなく……。
とにかく事業優位性くらいは出そうと思い、Webマーケッター時代に得意としていた競合分析に注力。ポジショニングマップや3C分析などで競合の弱みをあぶり出し、突貫工事的な作業ではありましたが、攻めようとする市場がブルーオーシャンであることを証明しました。
決勝進出通知から本番まで1週間程度と、全く時間がなかったので、休みの日の前日から徹夜をして、1日でほぼ完成させました。
正直マジでつらかったです。笑
ビジコン当日
当日は、宮崎から東京へ呼んでいただいたので、
本番は東京駅付近の貸会議室ホールで行われました。
ビジコン当日、僕がやっていたことは2点。
- 審査員の質問を聞く→「自分たちだったら」と対策を考える
- 決まり切っていない「売り上げ計画」「資金政策」について理由づけする(質疑応答のため)
他のファイナリストたちとの挨拶は友人に任せ、僕はひたすらにPCをカタカタ。
ファイナリストのプレゼンも(本当はみたかったのですが)片目で見るだけ。
とにかく質疑応答が怖かった。数字が固まっていないのが気持ち悪くて、
その対策に神経を集中していました。
芸能人登場
何人かのプレゼンが終わったとき、遅刻していたファイナリストが登場。
その姿をチラッと見ると
「あっ、みたことある……!」
なんと、お嬢様芸人の高松奈々!
エンタの神様で見たことあるやんけ~!!!
彼女のプランは「政治を笑いで面白く伝える」教育サービス。なんでも政治問題などを芸人ならではの面白劇で演じることで、子供たちに社会問題をわかりやすく教えることができるという。
ぶっちゃけ地域創生と直接関係はない(と思う)のですが、顧客動員数や情報のSNSリーチ数、書籍販売を実現させている実績が他と比較して際立っており、「ビジネスとして儲けられる」感が出ていました。
質疑応答でも矢継ぎ早に繰り出される質問によどみなく答えており。さすがは芸人出身、鍛えられているなという印象です。
とはいえ、「地域創生」というテーマには直接的に関係がないことから、
テーマど直球の僕らは「まだ勝機がある」と感じていました。
さて、僕らのプレゼン。
まずは導入。簡単な自己紹介のもと、現在の事業が順調に進んでいることを示すために、権威づけを行います。
「完熟いちご農園、○○です。日本一のバーテンダーの在籍するバーにも、フルーツカクテル用のいちごを直取引で提供しています」
そこから、テーマとなる地方創生に対する自分たちの考えと行動を明示。
「僕らの進めていった地方創生には、理想と現実のギャップがありました」
「今まで考えていたのは農業者のためだけの地方創生。これからは農業者のためだけじゃない、本質的な地域創生を」
そして、
「宮崎から日本初を、いや、宮崎から日本初を、みんなで創る」
大きく出た後に、事業内容の説明(ここでは省略)。そして、競合調査の結果、自分たちのビジネスが高付加価値かつブルーオーシャンに位置することを強調します。
「価格競争に巻き込まれず、地域のみんなと、高付加価値商品を育てていける」
自分たちのフィールドで勝ったとき、実現できるのは
「地方がヒト・モノ・カネを自給できる仕組みづくりをつくっていく」
そして、
「日本初を軸に、新しい仕事を創り、新しい雇用を生み、地域と一緒に生きていく」
決まった……!!
流れとしてはとても美しい(と思う)プレゼンでした。友人も詰まることなく、安定したプレゼンを見せてくれ、これはいけるのでは?と息をのみました。
そこで質疑応答。
「………」
沈黙。なかなか質問を飛ばしてこない審査員。
Webマーケティングの第一人者ともいえる審査員の方が口を開きます。
「なぜ、いちごなんですか?」
マーケティング領域を突っ込まれると思いきや、意外とやんわりとした質問。
事業オーナーである友人が、いちごに対する思いを語ります。
しかし、別の審査員の方から鋭い一言。
「このビジネスは、どんな人をターゲットにしていて、どれくらい売れるんですか?」
シンプルかつ、本質的な質問です。事前の調査が万全ならば簡単、しかしそうでなければ閉口するしかない。
市場規模を測定するに至らなかった自分は、追求から逃れるために、質問の意図からずれた回答をしてしまいます。
「私たちの市場はニッチに思えますが、僕らの売りは地方創生というストーリーになりますから、ターゲット層は僕らを知っているソーシャルグラフと置き換えることができます……」
「私たちはメディア発信力が強いので、マスメディア露出で○万人のリーチがあり、そのリーチ数からファンを増やしていけば、CV率1パーセント換算すると○人が買ってくれて……」
「以前クラウドファンディングをしたとき、CV率は10パーセント以上でしたので……」
必死に「顕在的な顧客数の多さ」をアピールしようとしましたが、まさに付け焼き刃。本質的なリサーチを行っていなかったせいで、墓穴を掘りまくりました。
「では、あなたは買いますか?ストーリーで売られている農作物などを、あなたは買ったことがありますか?」
「いえ……」
あまりにも後味の悪い、質疑応答でした。口をからからにしながら必死にしゃべった後のひりひりした感じが舌の上に残り、いやな苦みが続いていました。
その後、結局は、実績を評価された高松さんが優勝を手にしました。
やはり、この場は「ビジネスコンテスト」だったのだ……。
理念だけでは勝てない。カネのにおいがしなければ勝てない。
そして、数字がなければ、カネが生まれる要素が見えないのだ。
反省
さて、反省。本当にいくらでも見つかるくらい反省点があり、
勉強することしかない素晴らしいコンテストでしたが、
いくつかに反省点を絞ってあげてみます。
- 数字を決めておく(売り上げ計画、資金政策など)
- 審査員について調査しておく
- (チームでやるなら)情報共有をしっかりしておく
- 質疑応答の対策をしておく
まず、数字。理念型事業プランの僕らにとって、数字を決めていくのは実に険しい道でした。
さらに僕だけの話でいえば、正確には事業を持っておらず、友達の夢を形に落とし込むことしかできません。なので、自分の考えだけでは数字をつくることができず、いちいち友人に「これっていくらかかる?」「粗利はどう?」みたいに確認しながらやっていました。これが砂をかむように煩雑で、精神を消耗しました……笑
その結果、根拠となる数字を捻出できず、資料がやっつけに。「自分がわかる範囲の数字でとりあえず競合との優位性を示す」みたいなプレゼンになってしまいました。だから、そもそも僕らのビジネスにニーズがあるかを説得力ある数字で説明できなかったですし、事業の将来も「とりあえず年商1億」みたいな抽象的な目標に軟着陸してしまったのだと思います。地に足のついたリサーチが足らなかったなと思っています。
競合を食うならシェアの何%を食う、キーワード検索で月間どれくらいサーチされているなど、根拠を立てることはいくらでもできたはずです。
当日もやはりそこを質疑応答でつかれてしまい、しどろもどろな回答になってしまいました。マーケッターとして恥ずかしいことこの上なかったです。ここを突かれたら負けるというポイントをそのままにしてしまい、案の定そこを突かれてやられてしまう。ダサすぎて死にたかったです。徹夜で「それっぽい資料」を仕上げたことに酔い、負けるべくして負けた自分を「井の中の蛙」のように感じました。
また、審査員について調べる余裕がありませんでした。これもいけないポイント。
どんな組織に属しており、どんな領域が得意かを調べておくことで、質疑応答での
回答クオリティに差が出ると思います。
チーム内での情報共有も大事ですね。僕らのチームは僕(プランナー)+友人(プレゼンター)というチーム。僕が台本を書き、それをもとに友人がしゃべるという役割分担。本来であれば僕は台本書きとして、友人と同じくらい友人のビジネスに詳しくなければならないのですが、彼のビジネスを熟知するまでに至らず、結果的に質疑応答でのミス発言につながりました。
最後に質疑応答の対策。これは本当に実感しました。強いチームほど、質疑応答に対してよどみなく答える。そう、「勝つチームは質疑応答で勝つ」のです。
次こそは、ビジネスコンテストで勝つ
僕と友人には共通項がありまして、
「1番になる」という機会に恵まれてきませんでした。
僕自身、過去のビジネスコンテストやプレゼンコンテストでも
「準優勝」「ファイナリスト」などの、微妙な立ち位置で終わっており、
優勝の座を逃し続けてきました。
やはり、負けるのは悔しいです。顔がゆがむほどに。飛行機での長い帰路を悶々としながら耐えるのは「苦痛」の一言に尽きます。自分が負けたことを意識するのも辛いですが、一緒に出た友人が、ぼくの書いた台本で「負けた、悔しかった」というのを聞くのも堪えがたい。
だから、次こそは。次こそはビジネスコンテストで勝ちたい。
優勝したい。
地域創生ビジネスやるなら移住してから!
なお、今回は僕ら宮崎移住組は地域創生ビジネスをやってみたのですが、ビジネスアイディアは地元の人から聞いた話をもとにしたりしています。
地方での暮らしに興味がある方とそんな方々を受け入れたい! という自治体も多くあるので、そうしたメディアで仕事を探し、移住してみてから、ビジネスチャンスを見つけるのもありかと思います。
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