芸人先生奮闘記

芸人先生奮闘記その1「テストで勉強したことのない生徒を勉強させる4日間」

唐突だが、講師として中学生に勉強を教えることになってしまった。

しょうきち「それじゃあ、いくよ!桶狭間の戦いで使われた武器は?」

生徒「………」

しょうきち「……」

生徒「……」

しょうきち「……?」

生徒「……?」

しょうきち「イヤオオオオオオオオオオオオオオオオオオゥゥゥゥゥ!!」

彼らは、本当に、本当に、勉強していなかった。

テストで勉強したことのない生徒を勉強させる4日間

僕の友人が塾を開業し、高学歴である(以外取り柄がない)という理由だけで僕にヘルプの依頼が来た。

塾の運営者は友人で、僕は丁稚奉公。宿とメシを提供してもらい、かわりに塾での授業を奉仕活動として頑張っていた。

その記念すべきプレオープン生として、2人の生徒がやってきてくれた。彼らをAくんとBくんとしよう。

中学校の前でビラをまき、小中学生に生暖かい目で見守られながら集客した結果の大切な2人だ。

しかも、僕らのプレオープン一発目のプログラムは、テスト期間集中特訓である。塾運営初心者の僕らに期待し、成績を預けにきてくれたのだ。負けられない。

ちなみに、テスト範囲は下校してくる中学生をつかまえて写メを撮らせてもらうという

現地調達ぶり。 サバイバルだぜ。

ともかく2人には、なんとしても、頑張ってもらわねば。

テスト勉強に対する激しい認識ギャップ、すなわち「崖っぷち」

ところで、僕の中で、テスト勉強は1ヶ月前からやるものだと信じてやまなかった。

学校から配られるテスト勉強管理表では、1時間毎にマスを塗りつぶすきまりになっていた。

1周すれば万々歳といわれる中、僕は管理表を2周半するほどだった。

管理表を塗り潰す度に自分の優越感が満たされていたから、僕にとって、テスト勉強は激しい快感であった。

アドレナリンによるセルフアビューズ、つまり自己恍惚である。

テストの勉強時間数を積み上げることは、ヤク中におけるクスリの量を増やすことと何ら変わりがない。

だから、勉強量なんていくらでもこなせたし、その結果としてついてくる点数は優越感を見せつけるための道具だった。

テストの返却の日。

その瞬間が近づくほどに僕の全身は震え、神経シナプスはブリブリにドライブし、

ニヤつきと冷静のあいだで無理やりつくった真顔で席を立ち、鳥肌をプリプリに立たせながら用紙を受け取る。

点数は、

点数は、

点数は……

満点。

ハァーーーーーーン!!!!(心のなかで轟く魂の叫び)

「しょうきちくん何点だった?」そう聞いてくる友人たちを中世の貴族よろしく「まあまあ、そんなに見せるものでもないし?(笑)」となだめる。

それでも覗いてくる元気な男の子A、Bが用紙を覗き込み「すげー!!しょうきちくん○○点だったんだー!!」と叫ぶのを、

「おいおい、やめてくれよ~(笑)」と全然止める気のない声で制止(するふりを)していた。

アドレナリンヤク中のゴッドオブ自己顕示欲、または羨望の目を餌にして骨までしゃぶりつくしながら生きる埼玉の学歴ハイエナすなわち僕にとって、テストの時間とは、公然オレツエー大会そのものだった。

そんな僕が、ひょんなことから、今までテスト勉強をやったことのない中学生を指導することになった。

その様子が冒頭のそれである。

ちなみに僕自身も10年間以上高校受験から離れているため、知識は相当に抜け落ちている。しかし、自分は控えめに言って激しく自己顕示欲が高いため、「勉強がわからない」なんてことにはなりたくない……

なので、良い教材を探しつつ、それを使って学び直しつつ、生徒に勉強を教えるというカオスなサイクルが出来上がった。

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本当にわかりやすいし、ツボというか、刺さるトークがバシバシ出てくるのがすごい。

机にむかって勉強をするのは時間が取られすぎるので車に乗っているときにダウンロードした動画をラジオのように聞くことにした。

これで時間をムダにせず、効率的に勉強できたので極めてラクに学び直すことができたのだった。

(ちなみに、今後生徒にもオススメしていくことに)

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